ナクドナルド<以下ナック>の噂を聞いた時、僕はインドにいました。 旅人たちの談笑のなかで誰かが「中国の上海にナクドナルドがあ るらしい」と言ったのでした。その人は自分も噂で聞いただけだが本 当にあるらしい。と言っていました。そのパクリ様はすさまじくマックの MをブツンときったかんじでNには見えないらしいのです。また店内に入ると メニューにはチキンナックナゲット、ナックシェイク、ビックナックなど があるらしいのです。僕は日本では全くマックには行かない人なのですが、この 話を聞いた途端に中国に行ってナックを探したくなってきました。 しかしその時は諸事情により一時帰国した私だが、2ヶ月後・・・ 私は胸に熱い何かを持ち、背中に使命感を背負い、小雨降る上海に悠然 と立っていました。そして念願のナック探しが始まりました。しかし繁華街 などを探すこと2日、発見出来ずにいた僕は、せっかく中国に来たのだから そんな馬鹿な噂に惑わされずに何処か内陸のほうに美味いものを食べに行こ うと思いはじめました。そして上海駅に切符を買いに行きました。しかしその時!! 上海の駅の目の前に燦然(?)と輝くそいつに出会いました! |
この奇麗なまでのパクリっぷり。残念なことに店名はナクドナルドではなく Nancy’s Expressでした。漢字で書くと「南希速食」。速食で ファーストフードって訳なのでしょうか。とにかく僕は一つの物事を達成した時 に得られる心地よい達成感を感じるとともに、新たなる好奇心が湧いてきました。 そうだ、中に入って注文しなくては! 次の瞬間僕の目に驚きの事実が入って来ました。 外は物凄い人ごみなのに、店内は客が一人もいなく水を打ったかのように 静かであったのです。こんな一等地にあって、しかも昼時人が居ないほうが 不自然です。とても嫌な予感はしましたが、取りあえず、メニューを見てみました。 ハンバーガーの類いは一切ありませんでした。簡単に言えば弁当屋なのでしょうか? 惣菜が並んでいました。客が一人もいないのでかわいそうに思い次の客がくるまで 店内に居ようと思い、茶を買って店内で次の客を待ちました。・・・・・・・・ 待っても待っても客は現れず、小一時間ほどしてやっと客が入ってきました。 僕はこんな一等地でやっていけるのだろうかなどという、大きなお世話なことを考えな がらやっとナックを後にすることができたのでした。 |
僕の通う大学の名前は「北海道大学」なので略すと「北大」となります。こんなことは 当たり前でなんでもないと思っていたのですが、中国では、何でもなくありませんでした。 それは、ほんの偶然が重なって起きたことなのです。北大サッカー部は3月千葉で合宿を していました。そして僕は、着て行く服がなっかったので、その合宿の後「北大蹴球部」 (サッカー部の意味)と刺繍のしてあるウインドブレーカーを着たまま、合宿所から直接 成田空港に赴き中国の上海、そうナックが僕を待っている地へと飛び立ったのでありました。 中国に着いたのは、午後9時ごろだったのでその日は、ヒーコラ言いながら宿に行き速効 寝ちゃいました。そして、次の日にそのまんまの格好で街を散歩しました。 すると、何やら視線が熱いのです。僕は、かっこよくないので人から熱い視線をくらわさ れることは、あまりないので(あるとしても変なことして軽蔑の眼差しで見られるぐらい) その視線の熱さが異常に気になります。「なんだ?なにか顔についてるかなー?」とか 「鼻毛出てっかなー?鼻くそついたまんまかなー?」ぐらいにしか思いませんでした。 ショーウィンドウとかでチェックしてみましたが、異常ありません。不思議です。 しかしある食堂に入った時に、オバチャンのサービスが異常に良いのです。「?」です。 そして、そのもてる?原因が分かったのは2等列車で内陸に向かっている時でした。 2等列車で前の席に座っているおばちゃんの視線がまた熱いのです。そしてそのオバチャンが 話しかけてきました。 おばちゃん:「あんた北京大の学生かい?」と。 最初は何を言っているのかよく飲み込めなかったので 僕:「なんで?」と聞き返したら、 おばちゃん:「ほら、この胸のところに北大って刺繍してあるじゃない」と言ってくるのです。 この瞬間、僕は閃きました。これは使えるかもしれないと。 「北大」の刺繍は「北海道大学」から「北京大学」の略に変わっていたのです。 これは予想もしない展開になって参りました!! 僕:「そうだよ」と答えると おばちゃんの僕を見る目が尊敬の眼差しに変わっていくのがわかりました。 それからの10時間ぐらいは、おばちゃんが色々なものをくれてとても親切にしてくれました。 また、周りにいる人にも おばちゃん:「この人北京大学の学生なんだって」と宣伝しまくるものですからもう、あっち こっちからミカンだのヒマワリの種だのもらいまくりでした。 そして、その時一緒に居た日本人と日本語でしゃべっていたら おばちゃん:「さすがは北京大生!日本語もうまい。」といっていました。 僕のインチキ中国語を聞けば一発で中国人ではないと分かりそうなものですが北京大学はそんな ことすら、麻痺させてしまうほど威力のある大学名なのでしょう。 さらに、別の列車移動の時に、身分証明証の提示を係員に求められました。乗客全員が。 そのときに、他の中国人や中国に留学していた日本人留学生はかなりチェックをされていました。 普通この様な場合には、外国人はパスポートを提示しなくてはならないらしいのですが 日本人留学生は、留学している大学の学生証を提示していたので、僕もタイでたまたまつくって あった北京大学の国際学生証を提示してみました。ちなみになんで北京大学の学生証を作ってあ ったかと申しますと、バンコクで国際学生証が偽造出来るので遊びでつくってみようとおもい、 どうせ作るなら東大とかではなく国際的にネームバリューのある大学にしようと思ったのです。 で、最初に思いついたのが、「ハーバード大学」→スペルが分かりませんでした。その次が 「ケンブリッジ大学」→これまたスペルが・・・。てなわけでその時知っていたのが何故か BEIJING UNIV. だったので北京大学のをつくってあったのです。 で、本題にもどると留学生は本当に留学しているにも関わらず、異常にチェックされていまいした しかし僕の場合は 係員:「はい、あんたの番よ。はやく出しなさい。」 僕 :「はい、これ」 と、僕のインチキ学生証をみせると、係員は大学名を見るなり、いきなり態度が軟化し 係員:「謝謝。(シェイシェイ)気をつけて旅を続けてあそばせ。」 ↑ は言い過ぎだけどこんな感じ。 と、ほぼノーチェックで、すぐにOKしてくれました。凄いよ、凄いよ北京大生。 まぁ、確かに北京大の学生証を持っていて北大と刺繍がしてあったら間違いなく北京大生と 思うのが普通でしょう。 さらに、このインチキ北京大生は、本場北京に進出しました。 北京でも、もてもて(でもおばちゃんにばっかり)で食堂ではご飯はてんこ盛り。屋台でも おまけがガンガン付いて来ました。さすがは北京大学のお膝元、最高です。 てなことを、毎日繰り返し、日本では決して味わえないスーパーエリートな気分を満喫させて もらいました。でも、学生証をチラチラちらつかせながら歩くわけにもいかないので、暑いのにも 関わらず、毎日如何なる時もウィンドブレーカーを着用し続けなければならなかったのです。 いつもいつでも汗ダラダラ。 最初は、気がつけばスーパーエリートになっていたのですが、 そのうち気が付かれるのにも苦労している大ばか者に成り下がっていました。 (終) |