洗うな!


       これはバラナシという街でのお話です。
バラナシはヒンドゥー教の聖地として知られており、そこを流れる川
ガンジス川聖なる川と言われています。しかし、実際には物凄く汚
くて
聖なるドブなんて陰口を叩かれています。

日本ではなんとなく聖なるもの=清潔というイメージを持ちがちですが
インドでは全くそのようなことはないようです。
しかし、幾らそりゃ汚いだろ!って思っても聖なるモノなので大丈夫。
という答えが帰ってきます。こんな光景を見ました。

歯を磨いている人の2mぐらい上流で川にうん○をしている人がいました。
しかし歯を磨いている人はそのうんをしている人を見ながらも全然気にす
る風もなく豪快に口をゆすいでいました。
これは、やはり聖なるものがなせる業なのでしょう。
せめてうんこマンの川上で磨けばいいものを・・・と思ってしまう人は
インド人にはなれません。



さて、僕はガンジスのほとりのチャイ屋でで毎日3杯ぐらいチャイを飲
んでいました。インドのチャイは一杯1ルピー=3円と、とても安いのです。
(*チャイ=ミルクティーのようなもの)

そして、チャイ屋でガンジス川を眺めながらボーっとしたり本を読んだり、
おしゃべりしたり子供と遊んだり犬と遊んだり・・・。

時間のながれが目の前を流れるガンジス川のようにゆったりゆったりと
流れて行きます。とても贅沢な時間の使い方だと思います。

さて、ここのおやじが言うには

「他のチャイ屋はガンジス川で水を汲んでそれを沸かしてチャイにしている
 から腹をこわすぞ。聖なる川といっても汚いものは汚いからなぁ。
 俺の店では、ちゃんとしたところから水を汲んできているから安心だ。」


 というのです。

ちゃんとした所といってもそれはインドなのでまぁ街中の水道とかそんなも
んだと思いますが。まぁガンジス川よりは、かなりましです。
このおやじの言うことはあながち嘘でもなくちゃんと水をくんで来る所を何
回も見かけました。しかしです!

僕はふとした拍子にあるものを見てしまったのです。
それは店に誰もいなくなったスキにおやじは

ガンジス川でチャイのコップを洗いはじめたのです。

はっきりいってこの行為は僕からみれば
   

菌をコップにこすりつけて培養しているだけです。

洗った方が断然汚くなります。本当。

この風景を僕は反射的におやじに叫びました。

「洗うなー!」

するとおやじは、一瞬のためらいの後、

「聖なる河だからノープロブレム。」

  インド人
    困った時は
        ノープロブレム       読み人:多くの旅行者

食器を洗うなと言われる飲食店は世の中探してもココだけでしょう。

悪徳行商人


       僕が最初に旅行に行った時には、今思うといらないものをたくさん
持っていっていました.そしてそのいらないものを使って向こうで
人をだましてお金を儲けてしまったのでここで懺悔したいと思います.

まず壊れかけたウォークマンを持っていきました.このウォークマン
は最初の5分くらいは問題なく再生出来るのですが,5分たつと勝手
止まってしまいまた再生ボタンを押さないと聞けなという代物でした.

このウォークマンをインドで街の電気屋に持っていき,店の親父に

「買わないか?」

と持ち掛け,視聴させ,ついてもいない機能の説明をしたりしました.
当然の事ながら5分以上視聴することはなかったのでこの店の親父は
700ルピー(2100円)と言うインドにしては破格の値段でこの
ウォークマンを買い取ってくれました.

日本なら間違いなく売れない代物でしたがメイドインジャパンブランド
がインドでは嘘のように通用しました.そんなわけでおそらくこの親父
は,後から壊れているのに気付いても誰かに法外な値段で売りつけるで
あろうと思われるので,騙されてこのウォークマンを買ってしまった人
ごめんなさい.

次に昔サッカーの試合を見に行ったときに拾った双眼鏡です.思い切り
メイドインチャイナと書いてあったのですが.それを消して町中で,物
を売りに来たインド人に逆に売りつけることにしました.

すると早速獲物がかかったのですが,最初に来た親父はなんと親切にも
双眼鏡を買ってくれそうな人を紹介してくれました.その紹介された人
物は,何故かそこらのセーター屋でした.ここでもありもしない機能満
載トークをしてしまいました.オートフォーカス機能がついていてあん
たの目の焦点がずれると勝手に補正してくれるから遠くも近くも見放題
などなど.

そしてちゃっかりメイドインジャパンという事で300ルピー(900円)
という高額で売れてしまいました.

さらには,旅先で壊れてしまったもちろん中国製のカメラをきれいに磨き
上げタイで売りにでました.さすがにタイはインドよりも豊かなだけあっ
て明らかに壊れているカメラを買う人はいないのだろうと思いました.
何せ電池が入らないのです.入ってもすぐ飛び出てきてしまうので
全く撮れないのです.

だけれども電池を入れずに持っていき,例によってありもしない機能の説
明をしてさらには

「今は電池がないから撮れないがおまえが電池を入れれば奇麗に撮れる」

なんて説明しました.最初はどうせこんないいわけ通用しないからお土産
を買うときに幾らか安くしてもらおうとぐらいにしか思ってなかったので
すが,この店のあんちゃんはノリノリになってしまいました。
良くて物物交換と思っていたのですが

「分かった俺はお前にこの商品(財布)と幾ら払えばいいんだ?」

なんて言ってくるのです.僕も多少良心の呵責が働き

「俺はグットなジャパニーズだから物物交換でいい.」

なんて事をほざいてしまい,タイ人のあんちゃんにかなり感謝されてしま
いました.これはかなり心が痛みます.
こんなことを数知れず繰り返してきてしまいました.
こんな悪徳行商人に騙されてしまった人々ごめんして。

逆ギレ食い逃げインドの夜


        これは、バラナシと言う街でのお話しです。僕は初心者バックパッカーだったので
日本人ばかり泊まっている超有名な宿に泊まっていました。

さて、この宿では朝飯と夕飯がついています。人それぞれだと思いますが僕的には、
お世辞にも「美味しい!!」と呼べる料理ではなかったと思います。確かに、この宿
に泊まるにあたって此処の飯を目当てで泊まりに来る人はいないと思われます。
この宿には、その飯をもカバーする魅力があるから日本人が大挙して押しかけるのだ
と思います。別に僕はこの宿の飯の不味さを書きたいのではなくて、ただ今回の話を
書くにあたりとても重要だったのです。ここのご飯の美味しくなさが。

さてさて、僕がインドからネパールを目指す前日の話です。その日の夜は、なんとも
表現の仕様がない味つけのスープが晩御飯でした。それはとてもとても・・・。
晩御飯が終わり、みんなでダラダラしている時に、

「さっきの飯はあんまりだったから外に何か食べに行こう!」

と誰かが言い出して、10人くらいで外に何かを食べに行くことにしました。僕も
「インド最後の飯があれではちょっと心残りだなー」と思っていたので何か心に残る
ようなものを食べておきたかったのでした。そこで宿のすぐ近くにあるBABAレス
トラン
という店にアイスクリームが置いてあるという話を聞きつけたので、早速行っ
てみました。インドではアイスクリームを食べるのは初めてだったのでかなり期待を
して行きました。色々な意味で。「カレー味のアイスなのかなぁ」とか「チャイ味だ
ったりしてー。」とか店に着くまで話が盛り上がりました。

さて店に着くとメニューにはスペシャルアイスバニラアイスの2種類がありました。
10人で行って、2人は15ルピー(¥45)のバニラアイスを。残り8人は25ルピ
ーのスペイシアルウワイス(チョット強調してみました)を頼みました。インド最後の
夜だから気前良くスペシャルです。さてさて5分ほどしてまずバニラが出てきました。

                  

こんな感じで、結構立派なものが出てきました。バニラでこれだけ豪華なのですから
スペシャルへの期待は膨らみに膨らみ皆のボルテージは上がりっぱなしです。
そして、スペシャルが出てきました!!




「何ですかこれは?」って感じの↓こんなものが出てきました。

                

小さな銀色の小皿からフルーツ少々チョコクリームがたらしてあり97%ぐらい溶け
ているアイスらしき物体が微量ですが検出されました。これがスペシャルなのでしょう
か?そんなはずはありません。だってバニラがあんなに豪華なのですから、それよりも
高いスペシャルが、こんな分けの分からないものであるはずがありません。そこで

「これはなんだ?これがスペシャルか?」

と店員に聞きました。すると店員は

「まぁ落ち着け。まず混ぜろ。」

と言うのです。なるほど「これを混ぜて後から出てくるアイスの上にかけろとそう言うこ
となのか」と思い、取りあえず混ぜました。そしたら店員が

「良し。食べろ。」

と言うのです。ここで僕はあることに感づきました。しかし取りあえず食べ干しました。
そして食べ干した後に、

「あれがスペシャルか?」

と聞くと、店員は

「そうだ。あれがスペシャルだ。フルーツやらチョコが入っていただろ。」

と言うのです。完全に人をなめています。あんなのがスペシャルだと聞かされて納得して
お金を払う人はインド中探してもまず見つからないでしょう。僕らは抗議しました。

「嘘だ!あんなのがスペシャルなわけがない!アイス出せアイスを!」

こっちも10人近くでわぁわぁ喚き立ててるのでさすがにインド人も驚き、真実を語り始め
ました。店員の話によると、いつもはこんな晩飯が終わったくらいの時間にアイスを食べ
に来る人なんてほとんどいないので、この時間はもうアイスはいつもあまりないらしいの
です。そこに10人も大挙して来てさらに全員がアイスを注文したもんだから最初の2人
分しかなかったらしいのです。この様な内容の話をすると彼は、

「理解出来たか?では25ルピー払ってくれ。」

と言うのです。確かに理解は出来ましたが、納得はいきません。話の内容は理解しても彼
のこの発想は理解不能です。そこで僕たちは

「それなら何故最初からアイスがないと言わないのだ!」とか
「お前は本気であれに25ルピーの価値があると思っているのか?」などと

と大いにぶち切れて捲くし立てました。そんなこんなの白熱したやりとりが10分くらい
続きました。僕らはなめられては困ると引き下がらず善戦しました。すると彼は、

「分かった。では今回は25ルピー払ってくれ。今度来た時はサービスするから」

と言うのです。彼が次回ちゃんとサービスしてくれるとは思えません。そんな話知らない
とか言われそうです。さらにあの大きな期待を寄せただけに、上げて上げて落とされた
望のアイスには、どうしても25ルピーのお金を払いたくありませんでした。また僕は翌
日にネパールに行くのでもうこの店には来れません。そこで

「俺はもう明日ココの街にいないんだ。だからこの店にはもう来れないんだ。」

と言うと、彼もあきらめた表情でかなり切れ気味に

「分かった。じゃあお前があのアイスに納得するだけの金額を置いて行け。」

と言われたので、ここでまたもや僕のいけない癖が出てしまい

「じゃぁこれ 0ルピーね。ノープロブレムね。」

と言って店を出てきてしまったのです。さすがのインド人もこの平然と「ノープロブレムね。」
と発言する男にビックリした様子で口をパクパクして何か言いたそうでした。するとその後、
みんなインド人が口をパクパクしている隙を見て僕のマネをして

「0ルピーね。」

と言って店を出て来てしまいました。しかしさすがに豪華なバニラアイスを食べた人は

「0ルピーね。」

と言ったのですが、「お前は15ルピーだ。」と言われしっかり払わされていました。
今から考えると「あっやられた!」と分かっておきながら取りあえず出されたものを食べ
てしまっているので幾らか払ってくるのは当然な話なのですが、あの時は失望から来る怒
りで本当にひどいことをしてしまいました。また、翌日の早朝、僕はネパールに逃げまし
たが、あの街に残った人は、「店員が恐ろしくてあの店の前を通れなかった。」と言う話
を後日再会した人から聞きました。まさに逆ギレ&食い逃げなインドの夜でした。店員も
ネパールまで逃げたとは思いもしなかったことでしょう。



絶妙のタイミング?


        これまた、バラナシと言う街でのお話しです。僕は上にも書いたのですが日本人ばかり
の超有名ゲストハウスに泊まっていました。そこGHはガンジス河に面して建っていまし
最高のロケーションです。屋上からは朝早く起きれば対岸から朝日が昇りガンジスに反
射してなんとも形容しがたい程奇麗な光景が見られます。昼間でも河に近いせいか、涼し
い風が吹いてきたり、眼下で繰り広げられるインド人の一日生活劇場が見られます。

ガートと呼ばれる階段が河まで続き、そのガートで早朝からまだまだ寒いのに沐浴したり
石鹸を大量に使用し泡だらけになって体を洗ったり洗濯をしたり、うん○したり、その
真横でうんをしているのを見ているのに歯を磨いて、河の水で口をゆすいだりしています。

洗濯と言っても岸で、布を濡らして岩にバンバン叩きつけているだけです。あれでは奇麗
になるどころか、生地が傷つくだけなのでは?と思いました。うん○も河にたれ流しです。
さらにその真横でそのたれ流している下流の水で歯を磨いて口をゆすいでいるのですがこ
れでは口の中に雑菌を移植しているだけにしか思えませんでした。体を洗うのも洗濯も歯
磨きもすべてそうなのですが、こんなに汚い河で洗った方が汚くなるとしか思えません。
さてそんなインド一日劇場をこのGHの屋上からボーッと眺めていました。

すると僕の横に、このGHに長期滞在しているおっちゃんがやってきました。そして色々話
をしました。いつから旅しているかとか、何処に行ったとか・・・。そんな取り留めもない
話を河とガートで繰り広げられる日常を眺め続けていた時にそのおっちゃんは突然!!

お:「今だ!!」

と叫び、僕との会話もいきなり中断して走り出し下の階に降りていってしまいました。
何が今だったのだろう?と思いながらも僕は、またガートを見ていました。するとさっき
のおっちゃんが眼下に現れ、ガートをめがけて爆走して行きます。なにか緊急の事態だっ
たのでしょうか?「今だ!」と叫び爆走で階段を駆け降り、外に出てガートめがけて走っ
ているのです。すると次の瞬間、彼は素早い動作で服を脱ぎ、パンツ一枚になって河に飛
び込んだ
のでした。そして楽しそうに、河で泳ぎ体を洗い、着ていた服を洗濯したので
した。目の前で起きたことを理解は出来ました。しかし何が「今だ!」だったのかは全く
理解で来ませんでした。そこで彼が河から上がってきた時に

僕:「さっきは何が今だったんですか?」

と聞くと、彼は

お:「えっ!?さっきのは絶妙のタイミングだよ。なんとなくだけど。」

と言ったのです。自分でもなんとなくしか分かっていないけど、多分何の根拠もないけれ
絶妙なタイミングだったのでしょう。


(おまけ)
そんな彼は、このGHの近くにあるレストランで、店員が客が食べ終わった後に
「おいしい?(日本語で)」と必ず聞いてくる店で、「おいしい?」と聞かれ「不味い!!」
と自信を持って答え、更には道行く人に「ココの飯は不味いぞー!」なんて叫んだので
後日、店員に囲まれてリンチにあってました。    くわばらくわばら。

でもココの店も「日本食をだす」と言うのが宣伝文句なのにも関わらず、その料理は
とても日本食と呼べる代物ではなく、親子丼カレー味だったり、というか
全ての料理がカレー味でした。これでは宣伝文句を「インド風日本食」または
「日本風インド食」と変えるべきだと思いました。

こんなデタラメな料理を出してくるのに「おいしい?」と聞いてくること自体
言葉による暴力だと思いました。しかしリンチ事件を知っていたので
「不味い!」という本心は言えず「おいしい・・・」と答え足早に店を後に
することしか出来ませんでした。